築25年ほどの木造住宅の大規模断熱改修工事をご紹介。
一般的に住宅の断熱改修と言うと、
インナーサッシを取り付けたり、室内側の壁や天井に後施工用断熱パネルを張るような、
簡易的な事例が多いかと思います。
今回は“大規模”と謳っているくらいなので、そういった簡易的なものではなく、
壁を剝がして断熱材を追加したり、熱交換換気システムと追加したり、
温熱環境を劇的に向上させる本格的な内容となっております。
もともとの作りがFPパネル工法という事で、
25年前のお宅としてはかなり優れた断熱性能です。
窓の断熱改修はすでに行われていて、
古い図面をもとにQ-pexで外皮計算してみるとUa値0.4W/㎡・kとG1グレードクラス。
当時としては素晴らしい性能。
ただ、断熱気密ラインが連続していない部分などもあり、
住まい手は暖房時の物足りなさを感じておられる状況。
快適健康な温熱環境にするべく、断熱改修工事を行うこととなりました。
改修前↑
Ua値は0.4W/㎡・k から 0.28W/㎡・k へ外皮性能向上。
暖房負荷は 69.4kwh/㎡ から 27.6kwh/㎡ へ省エネ性能向上。
G2クラスの外皮性能となり、暖冷房費用も大幅減となるシミュレーションであります。
改修後↓
具体的な改修メニューは下記の通り。
天井:セルローズファイバー吹込250mm厚 (同断熱材を150mm追加して合計400mm厚)
壁:硬質ウレタンフォーム105mm厚 (高性能GW120mmを付加断熱材として追加)
床:硬質ウレタンフォーム88mm厚 (吹付硬質ウレタンフォーム100mmを付加断熱材として追加)
換気:第三種ダクト式 (第三種ダクト式はやめて、第一種ダクトレス全熱交換型へシステム変更)
まずは外壁を剥がすところからスタート。
コロナワクチンも接種済みの丸山大工が頑張ります。
(うちの妻もコロナワクチン打ちました。コロナ禍が終わる日も近い?)
外壁下地木材撤去 ~ 透湿防水シート撤去 ~
FPパネルが見えてきました。
パネルの継ぎ目はしっかりテープで気密処理されています。
さすがFP工法。気密性も確保できていそうな雰囲気。
この上に防火下地として石膏ボードを施工。
その上に、
外部から侵入する音を軽減する目的で遮音シートを施工。
さらに付加断熱材であるグラスウールマットを充填することで断熱材自体が吸音材となり、
壁体の遮音効果が高まります。
一昨年まで積極的に行っていたグラスウールによる外壁付加断熱。
壁の遮音性能という観点では現在の標準仕様(ネオマフォーム)よりもこちらの方が高性能ですね。
雨に降られないように、断熱材を濡らさないように、外壁一面づつ工事を進めます。
換気システムについて、新築案件では第一種ダクト式をメインに用いていますが、
今回はダクトレスタイプの全熱交換型換気扇を採用。
スティーベルのLT50です。
住みながらのリフォーム工事を行う場合、
内装の壁や天井を解体してダクティング工事をするのは非現実的なので、
こういった局所設置タイプのダクトレス換気扇の設置がベターですね。
(そもそもこの手のダクトレス換気扇はヨーロッパではリフォーム向け商品らしい)