ダイキョーの施工物件で採用実績の多い珪藻土クロス。
屋内の壁や天井に貼る仕上材でありますが、「どんなもんなんだい??」
という質問が多いのでブログに書いてみます。
クロスと言えばビニールが一般的ですが、
珪藻土クロスはビニールではなく、基材表面に本物の珪藻土がのっています。
表面は本物のぬりかべのようにザラッとした質感で、紙ヤスリのような肌触り。
妙なツヤが無いのでマットな表情で、無垢の床材などと相性が良く、
意匠面でも自然素材の家にはピッタリ。
ビニールクロスとほぼ変わらないコストで施工可能なので、
お手軽に珪藻土の風合いを得られるわけです。
「珪藻土の壁」と言うと湿気を吸ったり吐いたりるする“調質作用”や
臭気を吸ってくれたりする“消臭作用”などを耳にすると思います。
本物のぬりかべには3mm程度の厚みがあり、材料の体積があるので
そういった効果効能が期待できるんです。
しかし、珪藻土クロスの場合は材料の厚さが薄いので、
胸を張って言えるほど上記のような効果効能はありません。
ビニールクロスよりは良いけど、本物の多孔質なぬりかべにはかなわない。
ビニールクロス以上、ぬりかべ未満。
(でも、珪藻土クロスの家は新築特有のケミカル臭があまりしませんね)
サンゲツのFE-4484↑
ザラザラした質感が伝わるでしょうか。
それゆえのデメリットと言うか、、、
ビニールクロスと比較した場合、都合の悪い部分あります。
まず、「水拭きできない」という事。
紙ヤスリのような壁面を水拭きする気にはなりませんよね。
試しに濡れた布巾で強くこすってみる↓
ザラザラしてるので布が負けてボロボロになる。
意外と珪藻土の付着力が強く、
少しくらい力を入れてこすった程度ではクロスは何ともない。
古い家の砂壁のようにポロポロ剥がれてくるなんてことはまず無いと思う。
爪でえぐるように力を入れればやはり削れる。
まぁ普通のビニールクロスでもそうでしょうよ。
次のデメリット。
多孔質な仕上材は全て当てはまりますが、
ビニールのような撥水性が無いので汚れが中に染み込んでしまう。
試しにコーヒーを垂らしてみる↓
かなりヘビーな部類の汚れです。
少し間をおいて、濡れ布巾でポンポンと叩く↓
思ったよりキレイになる↓
が、写真だと分からない薄いシミが残っています。
もう少しライトな汚れ(手垢)などは、
消しゴムと濡れ布巾ポンポンを駆使すれば元通りになりますよ>
こういったデメリットは、
ビニールクロスに慣れた普通の人だと違和感を感じる人もいるかも知れません。
どうしても気になる人は、
〇真っ白な色を避ける
(ベージュ系やブラウン系などの色の濃いものは汚れも目立ちにくい)
〇ザラザラしてない撥水加工品を使う
〇腰板を張る(床から腰くらいの高さまでは羽目板を張る)
〇水廻りはビニールクロスを使う
などの対策?が考えられます。
そもそも完璧な撥水性や清掃性を求めたら、
自然素材の家はやめておいた方が良いかもしれません。
それの行きつく先は公衆トイレの内装でしょう。
(タイルや石油系新建材で固めて清掃性バッチリ)
多少のキズや汚れも味のうち。
おおらかに付き合っていった方が気が幸せになれる気がします。
珪藻土クロスってどうなのさ
2016.11.10 / 家づくり小幡 大樹
専務取締役・一級建築士