開けた景色に向かって三角にせり出す窓。その姿は、田園へと向かって漕ぎ出す船のようにも見える。
室内はといえば、景色を取り込みつつ日差しが操作され、心地よい温度感に満ちていた。
住み心地を訪ねてINTERVIEW 02
柏崎市T邸 2021年入居 夫婦+子ども3人パノラミックな眺めと
高性能を両立させた家
窓は200度以上。田園に漕ぎ出だす船のような形
階段を上るにつれて眺望が迫り、2階リビングに至ると景色にぐるりと囲まれる。「眺めを生かす」という大前提から壁面には角度がつけられ、開口部は200度近くに。これにはもう一つ、断熱性能を確保する目的があるという。つまり、真南にフィックス窓を配して眺めを取り込み、同時に西陽を遮りやすくする。「初めてプランを見た時、面白いことを考えてくれたと感動しました。暮らしているうちにこの景色にも慣れてくると思いきや、3年経った今でもマンネリ化しない。朝起きてブラインドを上げると『いいな』っていつも思うんです」。
G2グレードの性能と眺めを両立
「実家がすごく寒かった」Tさんにとっては、断熱性能も必然だった。そこで、付加断熱を採用してG2グレードとし、熱負荷の激しい開口は、南に対しては造作のフィックス窓とすることで眺望と断熱効果を確保。東西は、すだれの取り外しもできる引き違い窓とし日射を遮りやすくした。「すだれがなくても十分、涼しい。冬も、寒いと感じることはないですね」。Tさんはそんな快適さを感じるたび、打ち合わせの頃を思い出すという。「当時はG1グレードがほとんどだったのに、大恭さんはG2グレードが標準。しかも棟数を重ねているからコストを抑えることが可能だと。その通りの完成と、それ以上の住み心地を実感しています」。
屋根に沿った格子天井は吸音の効果も
三角屋根に沿った勾配天井には、木の格子が施されている。今ではおなじみとなっている"大恭デザイン"だが、T邸での採用はかなり初期だった。「下地に吸音板を入れることで、音が反響しないような効果もあるとか。娘がリビングでダンスの練習をしていますが、確かにそうですね」。
景色に向かう階段。その下にも工夫
玄関を入ると、まっすぐ伸びる階段がある。上るにつれて景色が変わり、後半は窓の向こうから眺めが迫り来る。
踏み板の片側を壁にはめ込んだ片持ち階段の下には、洗面スペースを造作して有効活用。無垢の木の床に対して、造作家具には合板を用いることでカジュアルな雰囲気が加えられている。
プラスαの空間で暮らしに余裕
LDKの一角にはフラットにつながる和室。水回り空間へとつながる通路の脇にあり、スクリーンを閉めれば簡易的な個室にもなる。
LDKの上には、もう一つの空間としてのロフトが設けられている。収納スペースとして使うほか、屋根裏の雰囲気がちょっと籠りたい時にもぴったりだ。
日々変わる景色と変わらない穏やかな暮らし
窓の外には、日々移り変わる景色。米山、黒姫山の頂がうっすら白くなると「初雪だ」と冬の始まりを実感するとTさんは言う。「昨日と同じように見えても違うから、毎日、感動がある」。自然と、家を大切にしたいと思いが生まれ、「毎日、掃除機をかけるようになった」と。窓際のベンチはお子さんの居場所に。高い性能によって心地よさが保たれた環境の中、日々移り変わる景色と家族の日常がある。